ドキュメンタリーの極北、ワン・ビン! 中国現代史を生き抜いたある女の半生とは。 2007年山形国際ドキュメンタリー映画祭大賞受賞作。 「鉄西区」で世界を驚嘆させたワン・ビン監督が、ドキュメンタリーの新たな地平を切り開いた力作。ソファーに座り、語りだす年老いた女性、和鳳鳴(ホー・フォンミン)。その壮絶な人生が、彼女の口から言葉となって溢れだしてくる。 就職、結婚、その後に夫の記事から反政府的とのレッテルを貼られ、二人は別々の強制収容所へ収監されることに。毛沢東指導の下、半右派闘争~文化大革命で迫害を受け続け、1974年に名誉回復に至るまでの個人の記憶が、現代中国史の物語として綴られてゆく。 鳳鳴が語るその人生に、心を動かさないものはないだろう。ワン・ビン監督自身、撮影しながら完全に鳳鳴の物語のとりこになった、と言う。時間を連ねる長回しによって、個人の語りをそのままに捉えた本作は、その始まりと終わりの美しさにおいても忘れられない稀有な傑作である。 2007年山形国際ドキュメンタリー映画祭大賞 2007年マルセイユ国際ドキュメンタリー映画祭ジョルジュ・ド・ボールガール賞 (C) Wil Production 2007