こちらは、 クラシック音楽の和声法のみならず、 菊地成孔さんと 大谷能生さんの共著、 『憂鬱と官能を教えた学校』で特集された、 ジャズ理論や バークリー・メソッドの祖、 すべての音楽理論の出発点となる18世紀の大著、 『ラモー氏の原理に基づく 音楽理論と実践の基礎』です。 バロック期のフランス人 作曲家であり音楽理論家、 Jean-Philippe Rameauこと ジャン・フィリップ・ラモーが執筆した 世界初となる和声法の教科書、 『自然の諸原理に還元された和声論』。 出版当時から現在まで、 世界中で研究され続ける 非常に重要かつ画期的な著作ですが、 その内容は難解、かつ詩的な言い回しが多く、 『西洋音楽の正体』などで知られる 伊藤友計さんによる初の日本語訳本も、 「文章があまりに複雑すぎる」と評されています。 18世紀のヨーロッパ人も同じように感じたのか、 ラモーの著作よりも、 その内容をわかりやすくまとめ上げ、解説した ジャン・ル・ロン・ダランベールによる こちらの1冊の方が 圧倒的な人気を誇っていました。 ラモー理論の画期的なポイントであり、 現在使われているコードネームの祖先となる 『根音バス』や『機能和声』という概念など、 ラモーの功績の要所をしっかりと押さえつつ、 図などを使いながら 読みやすい文章で分かりやすくまとめています。 J. S. バッハや ヘンデルを代表とする、 バロック期から ベートヴェン、モーツァルトら 古典派の時代にかけて、絶大な影響力を誇った 非常に重要なラモー理論。 また、その後のロマン派や現代音楽に至るまで すべての和声理論に影響を及ぼしていきます。 このように、音楽史に欠かすことのできない 重要な音楽理論について解説した1冊ですが、 2012年にはじめて日本語訳化されて以降 絶版の状態が続いており、 新品市場でも非常に高値で取引されております。 こうして市場に出ている場面を 見ることができるだけでも貴重な1冊です。 ぜひこの機会を逃すことなく、 この音楽史上に残る 最重要理論に触れていただけますと幸いです。 何とぞよろしくお願いいたします。